前回はPRP療法によって子宮内膜が厚くなる可能性についてお話ししました。今回も同じくPRP療法についてのお話になりますが、この方法で採卵数が上昇する可能性があることについてお話です。
PRPとはPlatelet-Rich Plasmaの略で、日本語に翻訳すると”多血小板血漿”となります。要するに高濃度の血小板が含まれている血漿ということです。血小板には成長因子(PDGF・TGF-β・VEGF・EGF等)が含まれていますが、これによって卵巣機能の活性化を促し、卵の数を増やすことで妊娠、出生率を上昇させようとする方法です。
方法としては、まず、採血を行い、遠心分離によってPRPを抽出します。その後、両方の卵巣に、採卵と同じような方法でPRPを注入します。
注入後、早い人であれば1ヶ月、平均3ヶ月後にはAMH値、FSH値の改善が見られるという報告です。
2018年にカリフォルニアの研究者が出した論文によると、36歳から46歳までの卵巣機能が低下している女性4名にPRP療法を行ったところ、平均78日後に行った採卵で5個の成熟卵が採取でき、少なくとも1つの胚盤胞まで成長したそうです。
また、2019年に他の研究者が出した論文では、3名の卵巣機能が低下した女性にPRP療法を行い、採卵可能になっただけでなく、胚質が向上し、このうち2名は胚盤胞移植で妊娠、1名は自然妊娠となったと報告がありました。
とても興味深いお話しなのですが、しかし、まだ歴史が浅い治療法なので絶対に効果があるとはまだ言い切れません。( Human Reproduction, Volume 34, Issue 11, November 2019, Pages 2099–2103 )
ただし、世界中、特にアメリカでは多くのクリニックが取り入れているようなのです。もしかしたら現在通っているクリニックも取り入れているかもしれないので尋ねてみてはいかがでしょう?