採卵を行なった周期に移植も行なってしまう新鮮胚移植周期、育った胚を一旦凍結し、次周期以降に移植を行う凍結胚移植周期。
どちらの方が妊娠しやすいのだろうと考えたことがある人は少なくないと思います。
これはドクターや研究者の間でも長年議論されている問題なのですが、今回はヨーロッパの国際学会で発表された演題を1つ紹介したいと思います。
演題名は
Fresh vs frozen embryo transfer( 新鮮胚移植 vs 凍結胚移植 )
というものです。
ベトナムの有名なIVFクリニックで2012年から2017年に体外受精を行なった18歳から49歳の患者さんのデータを集めて、分割胚の新鮮胚移植を行なった時と凍結胚移植を行なった時の累積妊娠率を比較しました。
このクリニックではデータを集計する際に患者さんを4つのグループに分けています。
これは、卵巣刺激を行なった後に、採卵数が
1−3個(グループ1)
4−9個(グループ2)
10−15個(グループ3)
15個以上(グループ4)
だった患者さんをそれぞれグループ分けしたということになります。
そして
その結果が以下のグラフです
このグラフが言いたいことは
採卵数が10−15個(グループ3)、15個以上(グループ4)の患者さんでは
凍結胚移植の方が妊娠率が高くなった。
しかし、
1−3個(グループ1)、4−9個(グループ2)では
新鮮胚移植と凍結胚移植の妊娠率は変わらなかった。
ということです。
グラフを見る限り、1−3個グループでは新鮮胚移植の方が凍結胚移植よりも妊娠率が高いのですが、95% CI 0.46-2.25という点から、有意な差ではないということです。
卵巣機能が良好な方にとっては凍結胚移植をお勧めしますが、
少し卵巣が疲れているかなと思われる方は、内膜の厚さ次第ですが新鮮胚移植も考慮に入れてみてはどうでしょうか。